「手当て」について
こんにちは
福岡の鍼灸院おるき、スタッフの田辺です。
子どもの頃、体調を崩して心細い時「家族に手を握ってもらい、安心して眠った」なんて経験はありませんか?
お腹が痛いときに手で腹部をなでる、不安や緊張を感じるときに手で何気なく身体のどこかに手を当てて、自分自身を癒やしているようなことも多いと思います。
ケガや病気などの処置をする医療行為を「手当て」といいます。
身体に手を当てたり、さすったりすることで痛みや不安を解消したり、信頼関係を構築したりする効果があり、特に小児医療や終末期医療などでは欠かすことのできない手法の一つです。
痛いところをさすり痛みを緩和することができる「手当て」の効果はゲートコントロール理論と呼ばれており、鍼治療でもこの性質を利用して鎮痛効果を得ています。
ゲートコントロール理論とは?
ゲートコントロールを簡単に言うと、痛みの伝達路である脊髄には、痛みをコントロールするゲートがあり、門番役の神経細胞がゲートを開いたり閉じたりして調整しているというものです。
少し詳しく説明すると、皮膚にある感覚神経線維はA(α、β、γ、δ)線維、B線維、C線維に分類されます。
C線維は、慢性的なうずくような痛みを感じ取ります。
C線維の直径は細く、感覚の伝搬速度は遅いです。
一方、「手当て」の感覚を伝える線維はAβ線維で、C線維より直径は太く、伝搬速度は早いです。
患部をさする・圧迫することで太い神経線維(Aβ線維)を刺激すると、C線維よりも優位に情報が伝達されます。
それによって痛みを感じにくくさせて、痛みを緩和することができるのです。
このように別の刺激が入ることで、痛みのゲートを閉じさせる効果が、ゲートコントロール理論と考えられています。
さらに、アメリカの心理学者Keltner氏は「触れることでの医学的効果はある」と述べています。
触れるという行為が大脳を刺激して、オキシトシンやエンドルフィンが放出され、幸せホルモンであるセロトニンを増加させるという研究を紹介しています。
オキシトシンについて
オキシトシンは、
①子宮の収縮をする
②射乳刺激をする
など女性ホルモンとしての働きが有名ですが、中枢神経での神経伝達物質としての作用もあります。
オキシトシンが分泌されると、脳は安らぎを感じます。
不安な気持ちを押さえて、副交感神経を優位にするのでリラックス効果が生じます。
また分泌されると痛みに対する耐性が増し、精神的ストレスも緩和されます。
また、英国の神経心理学者らによって行われた研究では、1秒に5cm前後の速度で撫でたときに最も気持ちよく感じるという結果が分かっています。
触れる速度によって神経線維の反応が違い、1秒に5cm前後のスピードで触れたときに反応する神経線維(C触覚線維)から、脳内の感情に関わる部位である扁桃体や自律神経、ホルモンの調節を司る視床下部など、さまざまな部位にゆっくりした速度で触覚情報が届きます。
また、スウェーデンのカロリンスカ研究所で行われた、人間が筆でラットに触れたときのオキシトシンの分泌量についての研究では、触れてすぐの段階ではオキシトシンは分泌されないものの、5分ほど続けると分泌されるようになり、触れるのをやめてからも10分程度は分泌され続けることが分かっています。
家族やセルフマッサージを行うときには、ゆっくりしたスピードで5~10分程度続けるのがおすすめです。
鍼灸治療での手当てもおすすめです。
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