こんにちは!
福岡県福岡市西区今宿駅前の鍼灸院おるき、院長の小野です。
私が大学院の頃、福岡大学では毎日のようにスポーツ選手のケアを行うために鍼灸治療をしていました。
簡単な腰痛、肩痛から始まり整形外科では手術を勧められているような腰椎椎間板ヘルニアや腰椎分離症、すべり症、脊柱管狭窄症などの腰痛が進行してレントゲン上でも異常が確認できるレベルの痛みまで対処してきました。
そこで気づいたことですが、多くの選手やその家族が、病院や整骨院などで言われたことを真に受け、ちゃんとしたメンテナンスを行えていないというのが現状でした。
腰椎がすべっているから腰痛が起きている。神経が飛び出している。骨盤が曲がっている。このようなことを言われ、電気をあてたりコルセットをはめて腰痛の改善を待っている状態でした。
さて、腰痛治療には診療のガイドラインというものがあります。
これは調べればすぐにインターネット上で見ることができますので是非見ていただきたいのですが、それぞれの治療についてシステマティックレビューがなされ、その治療が有益かどうかが議論されているものです。
これを是非、見てください。
一般的な腰痛について書かれているものですが、当然、スポーツ選手の腰痛も同じです。
まず、腰痛の定義です。これが診断の基準になっているものですが、
下肢症状を伴わない腰痛の85%で確定診断ができない
と明記されています。画像上に問題があっても、患者さんの訴えや症状と画像上の病気が一致することが少ないため、レントゲンやMRIでは腰痛の原因はわからないのです。
そして、何もせずに帰すわけにもいかないのであやふやなまま治療を行います。第一選択に挙げられるお薬や湿布ですが、ほとんど効果がない、あるいは、他の腰痛に対する対処と有意差がない。と明記されています。副作用もしっかりとかかれており、治験段階で3〜23%の参加者が副作用がきつくて治験を離脱しているのがわかります。
そして他の腰痛に対する対処として挙げられているのが電気治療、牽引、コルセット、湿布など、私がサポートした選手が病院や整骨院で受けまくっていたものでした。
これの効果は、
電気治療=効果がないという報告と効果があったという報告があったのでよくわからない。全体的に見ると、電気治療した直後は軽くなっているが、3日〜1週間後の状態を見ると効いていない。
牽引=有益であるとは言えない=効かない
コルセット=痛みや機能の改善はみられない
湿布=ぎっくり腰などの急性腰痛には効果があるが慢性化した腰痛には効果がない
などと書かれています。
お薬は、これと同程度の効果なので副作用を考えると海外では第一選択にしないと言われているのは納得の行くところです。
さて、肝心の鍼灸治療ですが、鍼灸治療も微妙と書かれています。
その論文を集めてみると、いわゆる『腰痛に効くツボ』を1点刺激して効果を検証したものや『腰に鍼を刺して電気を流す』電気治療をして効果を検証したものなどで評価されています。
私が、『この人は技術があって治療に関する話ができる!』と感じた鍼灸師で、腰痛患者に対して『腰痛に効くツボ1箇所だけに治療をする!』という人や、『腰に電気を流したら効くんだよ〜!』と言っている先生は1人もいません。
実用的ではない方法を集めて効かないと書いているので、それはその通りでしょう。
さて、WHOや海外では腰痛の際、鍼灸治療は優先順位では上位に入ります。
その他の方法はカイロプラクティックなどの運動、集学的リハビリ、脊椎マニュピレーション、ヨガなど、筋肉の柔軟性を高めたり腰に負担のかからないような身体の動きを学習することになっています。
私の行っている治療も、色々な筋肉に負荷をかけてどの筋肉が腰に負担を与えているかを確認して、その負担を取り除いていくという方法で行っています。
そして、その治療部位はほとんどが腰の筋肉ではありません。
スポーツ選手に限ったことではないですが、腰痛を予防し、治していくためにはまずは自分で情報を得ることが大切です。情報を自分でしっかり調べ、確認することで自ずと治し方や腰痛にならない方法がわかってきます。