腰痛

腰痛

腰痛は日本人が抱えている症状、悩みランキング1位の身近な病気です。

悩んでいる人が多いということは、それだけ病院でも対処、治療に困っていることが多く、ガイドラインでも有効とされる治療がほとんど紹介されていません。

ちなみに、腰痛の定義というものも確立したものはありません
一般的には、肋骨の一番下とお尻の溝の間の領域の痛みとされています。
急性腰痛(発症からの期間が4週間未満)、亜急性腰痛(発症からの期間が4週間以上3ヶ月未満)、慢性腰痛(発症からの期間が3ヶ月以上)の病期分類があります。

ここでは身近な腰痛の種類、西洋医学で原因とされているものについてご紹介いたします。

腰痛症、ぎっくり腰、脊柱管狭窄症、ヘルニア、坐骨神経痛などの腰痛

また、それぞれのページではお悩み別に対処法、西洋医学での対処法、東洋医学での対処法や当院の見解をご紹介いたします。

▼目次

    1. 急性腰痛症(ぎっくり腰)
    2. 急性腰椎椎間板ヘルニア
    3. 腰椎椎間関節捻挫
    4. 圧迫骨折
    5. 腰痛症
    6. 腰部脊柱管狭窄症
    7. 慢性腰椎椎間板ヘルニア
    8. 腰部椎間板症
    9. 変形性脊椎症
    10. 腰椎分離症・すべり症・分離すべり症
    11. 心因性腰痛
    12. まとめ

急性腰痛

急性腰痛症(ぎっくり腰)

急性腰痛症で多いのは通称ぎっくり腰と呼ばれる腰椎の炎症です。突然立てない程腰が痛くなることの総称となっていて、重いものを持ち上げた時などに急に動けなくなるほどの痛みが腰を襲います。
欧米では魔女の一撃とも呼ばれます。
ぎっくり腰の詳しい原因は西洋医学ではよくわかっていませんが、一般的には椎間板、椎間関節、仙腸関節の炎症が原因と言われています
レントゲンやMRIによる画像検査ではこれらの原因はわかりません。

多くの場合、時間の経過とともに症状は改善します。また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの抗炎症薬の効果はプラセボと差がないため、欧米では使用されません
症状を早く改善させたい場合には、日本、海外共通で温熱療法が有効とされています。まずは、しっかり患部や周辺の筋肉を温めるのが良さそうです。

その他、マッサージ鍼灸カイロプラクティックなどが有効とされています。

急性腰椎椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアとは、ヘルニアの一種であり、椎間板の一部が正常の椎間腔を超えて突出した状態です。急性腰椎椎間板ヘルニアは強い外力によって椎間板の内部の圧力が高まることで髄核や線維輪と呼ばれるコラーゲン繊維が椎間腔内に突出します。
症状はヘルニアが突出した場所によって異なりますが、多くが片側の下肢痛で、まれに両側に症状が出現します。

検査はレントゲンやMRIによる検査が行われます。

しかし、これらの検査でヘルニア塊が見つかって『ヘルニアが神経に触っている』と説明を受けても、実際に神経に異常信号が見つかるのは10%程度といわれており、実際の原因は明らかになっていません

治療では抗炎症薬などの投薬運動療法牽引療法温熱療法神経ブロックなどの保存療法が用いられます。

排尿障害などの症状が認められる場合には手術の適応になります。

手術に踏み切っても成績はあまり芳しくありません。
手術中にもほとんど痛みを感じず、手術直後すぐに症状が改善される患者もいれば、手術を受けても自然回復と変わらない程度にしか回復しない患者もいます。

手術の全体的な有効率は低いという報告もあり、最近では手術例も減ってきています。

腰椎椎間関節捻挫

腰椎を捻りすぎるなどの理由で椎間関節に捻挫を引き起こすことがあります。
腰椎は5個(人によっては6個)の骨でできており、その周囲には靭帯などの軟部組織や筋肉があります。
腰椎に可動域を超えた無理な負荷がかかると、捻挫を生じ痛みを引き起こします。

症状は体動時の激しい腰痛などが主体で、ヘルニアの時のような下肢のしびれや坐骨神経痛などはありません

治療は保存療法で、痛みが激しい時には抗炎症薬などが用いられますが、大抵は痛みの出ない姿勢で安静にしていると治ります。

圧迫骨折

最近ではいつの間にか骨折という名前が定着してきましたが、急性腰痛での圧迫骨折は外傷性のものになります

骨粗鬆症が進んでいる高齢者では、『ドスン!』と椅子に腰掛けたりくしゃみをしただけでも圧迫骨折が起こる場合があります。

また、整体、カイロプラクティック、リラクゼーションマッサージ等、法的な資格制度がないセラピストの施術を受けた際に骨折・神経損傷してしまうという事故も、毎年100件以上が消費者庁に寄せられています。

圧迫骨折の治療は骨折対応になるため、整復と固定になります。

痛みが強い場合には抗炎症薬などが内服されます。コルセットは固く、大きさもあるため着用者には不評のようです。

最近では、潰れた骨に特殊なセメントを流し込む椎体増幅形成術という方法が取られることもあります。


慢性腰痛

腰痛症

腰痛の85%はレントゲンやMRIなどの画像診断では原因が見つかりません。ヘルニアや狭窄症が見つかっても、症状と画像所見が一致していないことが多く、結局原因がわからないため腰痛症と診断されることがあります。

腰痛全般の対処として腰痛診療のガイドラインが日本整形外科学会と日本腰痛学会によって設けられていますが、有効とされる治療法が少ないのが現状です。

牽引療法やコルセットは改善が認められていないというエビデンス(科学的根拠)が存在します。

また、変形があっても症状が出ないケースも多く、健常人の多くが画像診断上は慢性腰痛に関わる診断を下されるということもあります。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは脊椎の間にある椎間板が変形・突出することによって脊柱管が狭くなっている状態のことを言います。

レントゲンでは確定診断をすることができず、MRIによる検査で確定診断が下されます。

症状は坐骨神経痛下肢の痛みしびれ間欠跛行(歩いているとだんだん痛みが増してきて、少し休むと症状が改善してまた歩けるようになる)と呼ばれる独特な症状を呈します。重度の場合、排尿障害が起こります。

原因は老化、作業姿勢などが考えられると言われていますが、実際の原因は不明とされています。

腰部脊柱管狭窄症の治療は抗炎症薬などの投薬、リハビリテーションなどの保存療法の他、神経ブロック注射や手術療法が取られます。
手術療法では術式によって結果に差はないようです。

東洋医学での改善例も多く、症状次第では歩行距離がかなり伸びた例も数多く報告されています。

腰椎椎間板ヘルニア

慢性腰痛の腰椎椎間板ヘルニアは急性期のヘルニアとは異なり、ヘルニア塊が強い外力によって突出するわけではありません。

日常生活などで腰部への負荷が積み重なることによってヘルニア塊がじわじわ飛び出してくる障害と考えられています。

レントゲンによる画像所見では確定することができません。

症状は痛みしびれで、特に腰の前屈が困難になります。重度の場合には排尿障害を呈します。

治療は手術を選択されるケースは少なくなりました。保存療法が主体で、西洋医学では痛み止めを内服しつつ、リハビリテーションを受けることになります。

鍼灸治療による改善例も多数、報告されています。

腰部椎間板症

腰部椎間板症では、椎間板の変形が確認されます。

レントゲンでは確定診断をすることができません。MRIによる検査が必要になります。

症状は長時間立っているとつらいなどで、キッチンに長時間立てないなど日常生活に影響が出ます。

治療は保存療法が主体です。

変形性脊椎症

変形性脊椎症とは椎間関節の隙間が狭くなったり、骨棘が形成されて神経を圧迫されている状態のことを言います。神経学的検査を行うことで確定診断ができますが、検査をしても神経に異常信号が認められるケースは少なく、腰痛の原因ではないケースが多々あります。

加齢や作業姿勢が原因とされますが、実際の原因は西洋医学ではよくわかっていません。

腰椎分離症・すべり症・分離すべり症

腰椎分離症・すべり症・分離すべり症とは過度のスポーツや腰椎の回旋運動によって、腰椎の後方の部分が疲労骨折する状態のことを言います。

慢性の場合、レントゲンで腰椎を撮影した際に、昔の骨折が発見されることがあります。

多くは学生の頃、成長期にスポーツなどで激しい動きをしたり、腰をひねる動作を繰り返すことで腰椎が疲労骨折を起こし、骨癒合が行われないまま偽関節になることで動作の度に痛みが出ると考えられています。

また、加齢に伴い発症する腰椎変性すべり症は中年以降の女性に多いのが特徴です。

体幹を後ろにそらす動きなどで痛みが出たり、お尻や下肢にしびれを感じる場合もあります。

と、考えられていますが、学生時代にスポーツ歴がないにも関わらず腰椎分離症が認められたり、レントゲンでは明らかに分離症の状態にも関わらず症状がまったくない患者もいるため、痛みの原因は明らかになっていません。

治療は通常の腰痛の治療となります。

心因性腰痛

腰痛の原因を『心の病』とするケースです。

腰痛患者に対して抗うつ薬を投与したところ腰痛が改善した。という論文から来ている話で、職場や学校などストレスの原因と考えられる環境に近づくと腰痛を発症し、それ以外の場所では腰痛を感じることはないという独特の症状を呈します。

保存療法として、認知行動療法など、自分を見つめ直す治療が有効と考えられています。

抗うつ薬や安定剤に抵抗がない方であれば、抗うつ薬の内服も有効とされています。


まとめ

腰痛の症状が出現する病気の代表的なものをご紹介いたしました。

WHOでもこれらの腰痛に東洋医学は有効とされていて、様々な対処法が存在します。

海外での腰痛診療ガイドラインには、投薬より前に運動集学的リハビリ鍼灸マインドフルネスベースのストレス軽減太極拳ヨガなど、東洋医学や代替医療での治療から試みることを推奨するものも存在します。

私が鍼灸をしていて感じる体感ですが、(骨折を除く)腰痛治療は、症状改善に役立つ治療であればほとんどのケースで受けた日から身体の変化を実感できます。

逆に、治療を受けた日に少しも症状の変化を感じられなければ、その治療は続けて受けても改善が見込めません。

自分の身体でしっかり効果を実感できる方法を探すのが腰痛改善の近道です。


筆者情報
小野修司
鍼灸師・スポーツ健康科学修士

鍼灸師の免許取得後、技術と知識の研鑽のために福岡大学大学院に入学。
スポーツ医学を学びながら関節運動の研究を行い修士号を取得。
大学院に通いながら地域の病院やアスリートのケアを行い臨床経験を積んだ。
福岡大学病院東洋医学診療部に鍼灸師として初めて入職を果たし外来診療も担当。
その後、培った技術を大学病院以外でも活かすため福岡市西区今宿に鍼灸院おるきを開院。
1年後、福岡市中央区唐人町に鍼灸院おるき唐人町治療院を開院。
現在に至る。

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当院のコンセプト

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