こんにちは!
いきなりですが、野球肩で悩んでいる人ってどのぐらいいるんだろう?
僕は大学院時代、スポーツ鍼灸やトレーナー活動を通して肩だけ治療しても良くならないってのがわかっているんだけれど、今日来た患者さんも肩の治療に悩んでいる一人だった。
キャッチャーで野球肩?って思うかもしれないけれど、野球やっている人にとっては死活問題だよね。
盗塁を防げないから、ヒットが自然に2塁打になるし、1塁送球できないからバントでキャッチャーの前に転がされたらただのバントが2塁打、3塁打になっちゃう。
トレーナーに診てもらったら、胸部の肉離れって言われてアイシング。
整形外科で検査したら上腕二頭筋損傷、関節間の隙間が狭くなっているって診断。
セカンドオピニオンでは野球専門外来に行ってみたけれど、問題が見つからなかったから3ヶ月間ノースローで調整して競技復帰したけれど、肩の痛みは変わってなかったそうなんだ。
最近では肩が痛くて、1回ボールを投げると肩から腕にかけて痛みと痺れで感覚がなくなるってことまであったらしい。
昨日、メールで相談を受けた時に「強く力を入れて投げたら特にひどい」って言われていたから「あぁ。たぶん、ここだな。」ってのはあったんだけど、とにかく一度診せてもらった。
問診で「調子にも良し悪しがあって、痛くない日もある。でも、投球は無理。」って聞いてホッとした。
調子に良し悪しがあるってことは、少なくとも骨や靭帯・軟骨なんかの軟部組織にダメージがあるものではなさそうだ。
骨・靭帯・軟骨なんかにダメージがある人は調子の良し悪しが少ない。
骨って、1日単位で形が変わったり硬さや強度が変わることはないでしょ?
靭帯や軟骨なんかもそう。
だから、日によって調子が変わるってことは、骨・靭帯・軟骨に問題はないってことなんだ。
これは、スポーツ障害に関わらず、全ての痛みに言えることだけれどね。
じゃあ、どこから痛みが来ているのか。それを診断しなくちゃいけない。
M-Testってテクニックで動作分析をしたら、どうやら肘と肩の連動がうまくいっていなかった。
肩の単純な動きでも痛みがあったから、多少の問題はあるんだろうけどそれ以上に肘〜肩の運動連鎖が行われていない。
肘〜肩の運動連鎖を改善するツボは例えば手の三里。
肩こりや五十肩に効果があるって言われているけれど、これは肘の回内を改善するから肘〜肩の連携がうまくいくようになる。
ただ、けっこう簡単に痛みが取れそうだったので、お願いしてYNSAとM-Testの研究に協力してもらうことにした。
大阪にある、あけぼの漢方鍼灸院の冨田先生と共同で研究しているんだけれど、脳梗塞の後遺症や色々な整形外科疾患に効果があると言われているYNSAと身体の動きを分析して治療するM-Testには共通するポイントが多い。
ただ、それぞれ診断点や治療点が違うから一緒にやると効果がありそうなんだけれど、もう一歩踏み込んだ研究がしたくて一緒に試行錯誤しているんだ。
今日は、肩の可動域を広げること、腕をねじっても痛みが出ないようにすることを目的にYNSAを試してみた。
診断はM-Test、治療はYNSAっていう、なかなかやらない方法で治療をしてみたらめちゃくちゃ良く効いた。
患者さんも、「鍼ってすげぇ!!!」って感動していたのが嬉しかった。
ただ、こちらの学びに付き合ってばかりもいられないだろうからM-Testでも治療したけれどね。
さて、治療後、動かしても問題なくなったけれど、彼はアマチュアながらも野球選手。
日常生活レベルでは問題なくてもボールが投げられないと意味がない。
なので、院にはスペースもボールもないのでタオルでシャドーピッチングしてもらった。
去年の8月から肩が痛くて3ヶ月ノースロー、その後も注射を打ちながらだましだましやっていた野球肩の彼が、全くの無痛で腕を振ることができた。
結局、問題は肘の先にあって、いままでどんなトレーナーさんにも触ってもらったことがなかった場所に原因があった。
彼は笑顔で帰って行ったけれど、たぶんもう大丈夫。
1年間で落ちてしまった筋肉を戻すために少しづつ負荷を強くしながら、ボールを投げていってくれるだろう。
これまで、M-Testっていう方法だけでスポーツ障害と向き合ってきたけれど、YNSAのアプローチもかなり磨かれてきた。
協力な武器を手に入れた気分。
今日は良く眠れそうだ。