自賠責を利用して鍼灸施術を受けるには?
こんにちは!
福岡の鍼灸院おるき、院長の小野です。
先日、患者様から『交通事故に遭って、現在整形外科に通院しています。鍼灸も併用したいのですが、交通事故後の保険を使った治療では鍼灸は受けられないのですか?』と、問い合わせがありました。
この患者様、症状は頭痛、首の痛み、めまい、吐き気などで、正式名称は頸肩腕症候群、通称ムチウチで整形外科に通院されておられました。
ムチウチの場合、他に腰痛、手足の痺れ・痛みなどの症状も有名ですね。
さて、話を戻して結論を言うと、こうです。
- 自賠責(自動車賠償責任保険)⇨受けられます
- 任意保険⇨保険会社との交渉次第です
となっています。
今回は患者様側が被害者ということで、加害者側の自賠責を利用しての受診を希望されておりました。
しかし、患者様は先方の保険会社様から
『交通事故の治療は鍼灸は受けられないよ』
と、言われておりました。
そこで、当院院長の小野が保険会社さんに確認いたしました。
すると、このように言われました。
『お医者さんの同意書を取ってこられたら、鍼灸の施術を認めます。』
ということで、同意書の準備です。
保険会社様によっては同意書のフォーマットが決められており、その会社専用のフォーマットを用いることもありますし、鍼灸院側で準備することもあります。
今回は鍼灸院側で準備させていただきました。
すると今度は、『治療費は厚生労働省で決められている目安を遵守してください。でなければ、保険請求は通りません。』
と、言われました。
目安を調べてみると1回の施術金額は500円にもいかないぐらい。
これは本当ならちょっと大変だぞと思い、国土交通省の交通事故相談窓口に問い合わせてみました。
担当者の方は、『治療が始まる前に料金のことを言われたのですか?ちょっと、対応としてはあり得ないのですが。』
ということで、色々と調べていただいた結論は以下になりました。※問い合わせの前に、『自賠責証明番号』を取得しておくとスムーズなようです。
- 交通事故後の治療で利用するであろう保険は2種類ある。任意保険と自賠責となっている。
- 自賠責においては、『必要かつ妥当と考えられる範囲での治療』、任意保険では保険会社が基準を設けて、その基準の範囲で補償上限を決められる。
- 自賠責保険においては、まず、鍼灸院は病院の同意書がなくても原則施術を受けられる。が、鍼灸師には頸肩腕症候群と診断する職務にない(確定診断をつけられない)。そのため、治癒したという基準を設けることも難しいため、その治療が妥当であったかどうかを判断する基準が曖昧になる。同意書の取得義務はないが、医師に診察してもらい同意書を取得すること、病院と併用することで、鍼灸治療が必要かつ妥当であると判断できる。
- 料金に関しては、保険担当者が自賠責と任意保険を混同している可能性がある。でなければ、自賠責での治療が始まる前に治療費の話を始めることが保険会社としておかしいと考えられる。もし、虚偽の説明をしていた場合、行政指導も視野に入る。混同していた場合であれば、国道交通省の方から訂正の案内をしておく。
- 任意保険の場合には、各保険会社が独自に設けている基準の範囲内での補償となる。そのため、自費の治療院などにおいては治療費の一部を保険会社が支払い、残りの額を被害者が負担しなければならない可能性もある。その部分に関しては、国交省としては関与できない。
ということでした。
僕も交通事故の保険では無条件で鍼灸も適応になると思っていたため、驚くとともに学ばせていただきました。
まとめ
自賠責と任意保険では、補償の内容や金額が変わってくる。自賠責では、その金額が妥当なものであれば治療費の全額が、任意保険では保険会社の規定の料金で鍼灸が受けられる。
同意書の取得は義務ではないが、必要かつ妥当な施術の判断のために医師が発行する同意書を取得しておくことが望ましい。
『交通事故の治療では、鍼灸を受けられない』と説明する保険会社が多いが、その話では自賠責と任意保険を混同している可能性がある。
保険会社と意見が異なった場合、国土交通省に担当窓口があるため、そちらに相談すると良い。
当院では、交通事故の被害に遭い、困っているという方のために保険会社様との交渉なども代行しています。
福岡市西区、早良区、糸島で交通事故の後遺症を残したくない!でも、交渉ごとは苦手という方、その辺りの交渉も全て、当院が行わせていただきます。
交通事故に遭ってしまった場合、ぜひ、福岡市西区今宿にある鍼灸院おるきにご相談ください。