世界の歌姫に衝撃的なニュースが飛び込んできましたね。
レディーガガが線維筋痛症を発症して活動を休止すると発表されたのです。
ファンの方はめちゃくちゃ辛いのではないでしょうか?
世界中に感動を与えているミュージシャンだけに、その余波は大きそうです。
さて、この世界の歌姫も悩まされている線維筋痛症ですが、聞きなれない名前ですよね?
でも、意外と身近な病気なんです。
線維筋痛症ってどんな病気?
日本人の繊維筋痛症の有病率は1.7〜2.1%。50人集まったら一人は線維筋痛症という病気です。同窓会で集まったら一人はいる計算です。
中年女性に好発し男女比では1:5〜8とかなりの差がありますね。
レディーガガは31歳なのでちょうど発症しやすい年齢みたいです。
線維筋痛症の症状は全身に原因不明の慢性的な痛みとこわばりが主な症状です。それだけでも辛いのに随伴症状として多彩な身体、神経・精神症状を発症します。
ただ、原因不明というだけあってレントゲンなどのX線画像やMRIなど、現代医学で行える検査では何も異常が出てきません。
全身の激痛とこわばりが襲ってくるのに、見た目は普通なので家族にもわかってもらえず、病院でも検査では異常が出てこないためなかなかわかってもらえません。
そのため、多くの患者様が精神科を紹介されたり家族の助けをもらえなかったりと身体だけではなく病気と闘う気持ちの上でもとてもしんどい病気です。
最近の研究では、脳内ミクログリア活性化症候群の一つで脳神経炎症が原因ではないかと言われていますが、今後の研究に期待したいところです。
病院などで『脳が痛みを覚えているから身体に異常がないのに痛みがあるんだよ!』と言われるアレです。
この、『脳が痛みを覚えているから痛い』説は僕自身は賛同できない部分が多いので、治療家としては否定しておきたいところです。
さて、改めて繊維筋痛症の病気について掘り下げたいと思います。
線維筋痛症の症状は?
線維筋痛症の症状ですが、主な症状は全身の激痛とこわばりです。
重症化してくるとちょっとしたことでも痛みを感じます。
じっと安静にしていても痛みがありますし、身体を動かそうとしても当然痛みを感じます。爪や髪への刺激、風が当たったり温度、湿度の変化に敏感になったりします。
そのため、夏場などには暑いのにクーラーをかけることができなかったり無理をして動くとしばらく立つことができなくなるほど全身が疲労してしまいます。
このような状況ですので仕事をすることも困難になりますし、場合によっては介護が必要になる場合があります。
好発年齢の30代女性ということを考えても、繊維筋痛症は本人だけではなく、家族も含めて人生を激変させてしまう恐ろしい病気です。
線維筋痛症には随伴症状を呈する人も多いのが特徴です。
主症状の痛みやこわばりに加えて、すぐに疲れる易疲労感、倦怠感、頭痛、便秘や下痢を繰り返す過敏性腸症候群、多汗や不眠などの自律神経症状が出現します。
また、鎮痛薬が手放せなくなるため鎮痛薬の副作用としても様々な症状が出現します。
記憶障害、倦怠感、不眠、胃腸炎などでしょうか。
主症状の痛みやこわばりだけでもきついのに不眠や倦怠感で身体を休めることもできません。
線維筋痛症の原因は?
どんな病気にも必ず原因があります。原因に対処することで病気は治っていきますが線維筋痛症の原因は残念ながら未だにわかっていません。
現在検討されている研究では患者の体力強度、飲酒歴、遺伝的要因、喫煙歴、アレルギー、妊娠悪阻(つわり)、小児期の注意欠陥多動性障害、うつ病などとの関連が指摘されており健常者よりもこれらの病気の原因になりがちな要因が多いようです。
でもこれって、病気の原因に直結するものではないように思います。飲酒をしたら全身の筋肉がこわばって痛くて動けなくなるでしょうか?
医療の研究ではこじつけのような研究も多いため原因とはかけ離れた研究が多いのも事実です。
結局、原因がよくわからないため効果的な治療がないというのが現状です。
線維筋痛症の治療
線維筋痛症の治療は主に薬物療法として抗うつ薬や抗てんかん薬、症状に合わせて睡眠導入剤や安定剤などが使用されます。
どれもが症状に対する対処療法になりますので病気そのものを完治させる方法にはなり得ないのが現状です。
治る人もいるようですが、なぜその治療で治るのかもよくわかっていません。
海外では薬物療法を選択される機会がどんどん減っており、運動療法や認知行動療法などが主体になってきています。
その他、鍼灸やヨガ、マッサージ、脊椎マニュピレーション、太極拳などの身体をほぐしたり筋肉そのもののこわばりを和らげることができる治療も有効とされています。
これらの方法は運動処方する先生の知識や施術する先生の技術に治療成績が影響されやすいため結果が安定せず、なかなか質の高いエビデンスが報告されませんが、自分に合った方法を提供してくれる先生に出会うことができれば良い結果が期待できると思います。
当院での線維筋痛症の治療
病気の原因が不明のためそちらに直接アプローチすることは困難なため何をもって完治とするかは難しいですね。
当院でも線維筋痛症に対しては治療を行なっていますが、主な目的は痛みやこわばりを今よりも軽減して生活を送りやすくする生活の質の向上に重きを置いています。
まぁ、痛みが完全になくなれば困ることはないわけであまり病名には囚われず普段通りの治療を提供するという感じです。
方法としては、M-Testベースの鍼治療やお灸、筋膜リリース、YNSAベースの鍼治療が主体です。
M-Testは動作時の痛みを改善したり筋肉に負荷がかかった時の痛みを軽減、改善します。
お灸も筋肉のこわばりを改善させるにはかなり使えます。
また、線維筋痛症の患者様は筋膜の滑走性がかなり低下しているため動きに制限が出ていることが多いようです。
場合によっては、M-Testの治療に筋膜リリースを組み合わせて治療します。
YNSAは頭皮への鍼治療で海外では保険適用になっていたりハーバード大学などで研究が進められている新ジャンルの鍼治療です。
頭皮に刺激をすることで脳内の神経の興奮を促し、興奮させる場所によって手足の筋肉の緊張を緩めたりあらゆる場所にアプローチすることができます。
脳神経の炎症が強い方などにはお勧めしたい治療法ですね。
線維筋痛症で悩まされている患者様は非常に多く原因の解明も難しいなかなか厄介な病気です。
家族の方のサポートも重要になってきますのでご家族の方と病気の情報を共有して立ち向かっていってください。
鍼灸院おるきでも、線維筋痛症患者様の健康と生活の質の向上を全力で応援しています。
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鍼灸院おるき