コンディショニングは直訳すると「調整すること」という意味があり、一般には身体の調子を整えることや健康でいるためという認識があります。我々治療家も患者さんが毎日を快適に過ごせるようコンディショニングとしての鍼灸をおすすめすることもありますが、スポーツ選手にとって、コンディショニングは意味合いが違います。
スポーツコンディショニング
スポーツ選手のコンディショニング、『スポーツコンディショニング』は様々な目的で行われます。
- 一般の人と同じく、身体に不調を来たさないため
- 怪我や故障、スポーツ障害の治療のため
- 怪我や故障、スポーツ障害の予防のため
- 練習や試合で故障、スポーツ障害を来たさないため
- 体調を崩さないために
- 身体の動きを試合に近づけ、最高の質で練習するため
- 試合で最高のパフォーマンスを発揮するため
など、その目的に合ったコンディショニングを行う必要があります。
例えば、怪我を予防したいからと『身体を強くするために筋トレをしよう。』と考えるのは、ある意味では正解ですが足りません。
筋力トレーニングだけでは筋肉は柔軟性を失い、関節や軟骨・靭帯などの軟部組織に負担をかけやすくなります。
この場合、弱い部分の筋力を鍛えつつ柔軟性のある、関節や軟部組織に負担をかけない筋肉をつけるために筋力トレーンングをしつつしっかりと柔軟体操やストレッチを行う必要があります。
また、ストレッチも種類があり、大きく分けると静的ストレッチと動的ストレッチがあります。
動的ストレッチを行うべき時に静的ストレッチを行っても怪我をしやすくなるだけですし、静的ストレッチを行うべき時に動的ストレッチを行ってもほとんど意味はなく、目的を達成できません。
アスリートやスポーツ選手、スポーツ愛好家も含めて競技者は、目的を達成するために必要なスポーツコンディショニングを学ぶ必要があります。
スポーツコンディショニングとトレーナー
しかし、スポーツコンディショニングも奥が深く、完璧にこなそうとすると解剖学や生理学など人体のしくみを治療家レベルまで学ばなくてはなりません。
しかも、我々鍼灸師のような東洋医学家や理学療法士のような西洋医学の治療家、ボディービルダーのような筋肉の知識、管理栄養士のような栄養学の知識など、学ばなければならない要素が膨大にあります。
そこで、我々専門家は『トレーナー』という名前でスポーツ選手のコンディショニングのために働きます。
スポーツコンディショニングには目的に合わせて色々な手段があります。
怪我なく筋肉を強化したり、動ける身体を作るためにはフィジカルトレーナーが、身体の内側から身体を作るには管理栄養士やアスリートフードマイスターが、疲れた身体のケアや怪我・スポーツ障害の予防には我々鍼灸師や理学療法士などのケアトレーナーが担当します。
特に、鍼灸はプロスポーツの現場で働くトレーナーは70%以上が取得しています。
- 競技能力を高めたい
- 高いレベルで競技を続けたい
- もっと良いパフォーマンスを発揮したい
- スポーツ障害を予防したい
- 身体をもっとイメージ通りに動かしたい
- 今ある痛みを改善したい
など、鍼灸だけでも色々な目的で施術が施されます。
スポーツと鍼灸の関係については、別記事で詳しくご紹介いたします。
鍼灸以外のおすすめのコンディショニンググッズ
スポーツコンディショニングはトレーナーがついていないとできないというわけではありません。
色々、スポーツコンディショニングには有効なグッズもあります。
僕のおすすめをいくつかご紹介させていただきます。
ストレッチポール®
ストレッチポールは株式会社LPNさんが制作・販売している、ケアと体幹トレーニングが同時にできるグッズです。
背骨のアライメントを整えたり体幹を使いやすくしたり、もちろんスポーツ障害の予防にも役立つ優れものです。使用後は身体が柔らかくなって熟睡できるので、疲労回復にもオススメですよ!
僕も治療に使わせていただいておりますが簡単な肩こりなんかは1回で改善できます。
不眠に悩む友人にレンタルしたら翌日夜、怒りながら電話がかかってきて
『熟睡しすぎて会社に遅刻して怒られてしまった!困るから取りに来てくれ!』と、言われました。
起きたら、お昼の3時で会社から着信が27件入っていたそうです(^^;)
当院でも、少しお得にお求めいただけます。
ソマニクス
東洋レヂン株式会社さんの製品で、近年では海外人気も高まっています。
刺さらない鍼という認識ですが、自律神経系への働きかけが強く東京都健康長寿医療センターでも研究が進められています。
僕の修士論文でも使わせていただきましたが、こちらは海外雑誌に『新しい鍼』として掲載されました。
トレーナーさんに貼る場所を聞いて使うのが理想的ですが、痛い処に貼ってもけっこう効きます。
ストレッチポール ひめトレ
ひめトレもLPNさんが出しているコンディショニンググッズです。骨盤底筋群を刺激して体幹を働きやすくしてくれます。
現代人の多くが、体幹のコアユニットである腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群、横隔膜をしっかり使えていません。
ひめトレは骨盤底筋群を刺激して支えを作り、体幹深部の筋肉を動く状態にしてくれます。
筋筋膜性腰痛や腰椎分離症などの腰痛全般に悩む方や、体幹を安定させて競技能力を向上させたいという方におすすめです。
ヘッドスパマシーン
当院で行っているYNSA®という鍼灸治療は頭皮に鍼をすることで脳神経に直接アプローチできるという方法ですが、頭皮はそれだけ多くの情報を脳に送ります。
また、頭を覆っている帽状腱膜という薄い膜は筋紡錘が集中していて、少しの刺激で全身に影響を与えてくれます。
帽状腱膜が緊張していると身体のあちこちが硬く動きづらくなってしまうため、しっかりほぐす必要があります。
当院では株式会社MTGさんのフィンガーヘッドスパを使用していますが、最近では電気屋さんにも色々な種類のヘッドスパマシーンがあるので行ってみても良いかも知れません。
パイオネックスゼロ
老舗鍼メーカー、セイリン株式会社さんの出している身体に貼り付ける円皮鍼の、刺さらないバージョンです。
自宅で最低限のケアを行いたい場合や、トレーナーさんにしっかり指導してもらえるならこれを自分で貼るというのも手かもしれません。
疲労回復を早めたり、筋収縮をタイムラグなく行えたりして非常に良いですよ(^^)
まとめ
スポーツコンディショニングのちょっとした情報をご紹介させていただきました。
現在日本で活躍しているトレーナーの70%以上が鍼灸の免許を取得しています。鍼灸とスポーツコンディショニングは、現在では切っても切れない縁になっています。スポーツコンディショニングはスポーツ障害の治療、予防をするというだけではなく、競技能力の向上や練習品質の向上、反応速度の上昇、疲労軽減、疲労回復に役立ちます。
小野も専門的に研究していたので、日頃からしっかりケアをしていきたいという方のサポートはさせていただきたいと思います。
福岡,福岡市,糸島市,その他糸島エリアでスポーツコンディショニングをお探しの方はご相談くださいね!
筆者情報
小野修司
鍼灸師・スポーツ健康科学修士
鍼灸師の免許取得後、技術と知識の研鑽のために福岡大学大学院に入学。
スポーツ医学を学びながら関節運動の研究を行い修士号を取得。
大学院に通いながらも地域の病院での臨床やアスリートのケアを精力的に行い臨床経験を積んだ。
福岡大学病院東洋医学診療部に鍼灸師として初めて入職を果たし外来診療も担当。
その後、培った技術を大学病院以外でも活かすため福岡市西区今宿に鍼灸院おるきを開院。
1年後、福岡市中央区唐人町に鍼灸院おるき唐人町治療院を開院。
現在に至る。