腰痛治療のガイドライン解説|福岡市西区今宿駅の鍼灸院おるきブログ

こんにちは福岡市西区今宿駅の目の前、鍼灸院おるき院長の小野です。

先日僕が腰痛で動けなくなったときの話をしました。
前の日に変な姿勢を長い時間していて違和感があったのですが、
ちょうど当治療院に見学に来られていた先生がいましたので
『せっかくだから、教えた事やってみて!』とお願いして無事改善しました。

Y先生、無茶振りに答えていただいてありがとうございます!笑

しかしそんな都合よく自分の腰が痛くなった日に腰痛が治る事はほとんどありません。

実は腰痛は日本人の国民病と言われており、日本人の80%が一生のうちに
1度は腰痛を経験すると言われています。

腰痛になった時いろんな選択肢があると思います。

そのそれぞれの選択肢でどういう結果が得られるのかについて
腰痛治療のガイドラインを見ながら考えていきたいと思います。


腰痛治療のガイドライン ー腰痛の定義ー

腰痛患者さんを救うはずのガイドライン。実際には効果がない治療の記載が多く効果につながっていない。

腰痛患者さんを救うはずのガイドライン。実際には効果がない治療の記載が多く効果につながっていない。

腰痛治療のガイドラインは日本整形外科学会と日本腰痛学会が共同で
製作したものです。この内容を見ながら、腰痛治療について考えていきたいと
思います。

腰痛の定義

ではまず腰痛治療のガイドラインの定義と言うものを見ていきましょう。

腰痛の定義について、いきなり恐ろしいことが書かれています。

腰痛の定義について、確立された定義というものは存在しない

腰痛は実はすごく曖昧なものです。肋骨の一番下と、骨盤の間の領域に
痛みがあるもの全般を一般的に腰痛と呼びますが、原因がわかっていない
ものが多いのです。

ガイドラインによると、

非特異的腰痛の85%は確定診断をすることができない。

このように書かれているんですね。

つまりほとんどの腰痛の原因は不明。

そういうことになっています。

これは、レントゲンやMRIなどなどの診断をしたときに得られる画像データと
患者さんが訴えている腰痛、これらの症状が一致しないと言うのです。

仮にですが、レントゲンなどの画像でヘルニアが確認されたと言う方がいましょう。
しかし患者さんの訴えの症状は脊柱管狭窄症。
これではどちらの治療をしていったらいいかわかりません。

身体に合った治療しなければ良くなるはずがないのですが、
画像診断からでは自分の状態に合った治療を受けられる可能性は15%
ということになっています。

今現在、腰痛にお悩みの方でなかなか腰痛が良くならない・・・
と感じている方は治療内容が合っていない可能性が高いと考えられます。

しかし、現在の状態の把握をしておくこと自体はとても大切なことです。

ですので、一度整形外科で検査をしてもらい、あまり治療効果が
感じられなかった場合は他の選択肢も考えたり、鍼灸などを併用して
より効果を実感できる方法を選択するのが良いのではないでしょうか?

それではここからは日本腰痛学会と日本整形外科学会が作った
腰痛治療ガイドライン、治療の項目を見ていきましょう。


腰痛治療のガイドライン ー薬物療法ー

治療の項目でまず最初に挙げられているのはお薬による薬物療法です。

日本で1番最初に出されるお薬としては非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
と呼ばれるお薬が出されます。
ロキソニンやバファリン、ボルタレンなどの消炎鎮痛薬と呼ばれるお薬で、
「腰痛で整形外科を受診したら処方してもらった。」
という方も多いですよね。

さて、このNSAIDsの結果は残念ながら良くありません。

強めのお薬で鎮痛効果は高いものですが、腰痛に対する治療効果は

疼痛強度の改善が小さい

と明記されており、また

副作用も強いため短時間投与が望ましい。

とされています。ですので、3ヶ月以上続いている慢性腰痛などで
こういったお薬を飲むのに特に注意が必要です。

次に選択されるのはCOX-2選択的阻害薬と呼ばれるもので、NSAIDsに比べて
副作用が少ないのが特徴です。
エトドラク、セレコキシブ、メロキシカムなどがこれにあたります。

疼痛緩和に対して長期の内服が考えられる場合にはこの薬が選択されますが、
腰痛改善に長期内服は必要ないと考えられます。

正しい治療を行うことで改善が見込めますので、
そもそも薬物療法以外の選択肢を選びましょう。

アセトアミノフェンと呼ばれるお薬は疼痛に対する鎮痛作用は弱めです。
しかし、比較的副作用が弱くNSAIDsなどに比べれば飲みやすいお薬です。
もっと強いお薬が効果なしとされているので、別の方法を考えて見てください。

またとても強いお薬として有名なステロイドやリリカといった
神経痛に処方されているお薬ですが、なんと

坐骨神経痛を伴う腰痛に対しては
プラセボ(小麦粉)と比較して有意差は無い。

と言う報告があります。いずれにせよ内服薬の腰痛に対する効果は
期待できず、世界リウマチ学会など海外の学会ではガイドラインから
外れるなど、注意喚起がなされています。

次に湿布などの外用薬についてです。
腰痛=湿布のイメージがありませんか?
僕も、子供の頃おばあちゃんが腰に湿布を貼っていたので

『腰痛には湿布が良いんだ!』と子供ながらに考えていました。

湿布は、

関節痛や捻挫に対する治療効果は認められているが、腰痛でのエビデンスの高い報告はない。

と明記されています。

湿布が出されたら怒っても良いでしょう。


腰痛治療のガイドライン ー物理療法ー

ガイドラインでは、次に温熱療法が紹介されています。

温熱療法・・・ホットパックや我々が使うお灸などがそれにあたります。

ぎっくり腰などの急性腰痛に対するエビデンスの高い報告はあるとされていますが、
慢性腰痛に対する質の高い報告はないとされています。

慢性腰痛に対する効果としての個人的な感想や効果の実感としては
単に治療ポイントが悪いだけだと思いますが、腰を温めたり腰にお灸をしても
慢性腰痛は良くなりません。(個人個人で温めるべき場所は違います。)

次に出てくるのが経皮的電気神経刺激療法(TENS)。

いわゆる電気治療です。これは整形外科や整骨院などで受けることができます。

TENSは施行直後のみ、腰痛の改善に効果があると言うエビデンスがあります。
その半面、3日後や1週間後など少し時間を置いて確認してみると
腰痛の程度に変化は無い。とされています。

電気を流すとスッキリして気持ちが良いですよね?
しかし、その日だけスッキリしても根本的な治療にはなっていないんです。

何度か治療を受けてみて特に腰痛の程度に変化がなければそれ以上継続しても同じだと考えられます。

次に牽引療法。

椎間板などが狭くなっていると言われて引っ張ったことがある人も
いるのではないでしょうか?

実はこの牽引療法も

腰痛に対して有効である可能性は低い。

と明記されています。

実際海外ではもう20年以上前に廃止されており、
私が以前勤めていた大学病院に研修に来られた方で、
海外で活躍している理学療法士さんは

『日本は医療先進国と聞いていたけどなぜ効果がないとわかっている
牽引療法をいまだにやっているの?
海外ではもう、20年以上前に廃止されているのよ?』

と聞いてきたことがあり、当時僕は答えることができませんでした。

牽引は保険点数が少し高いため、病院としては収入につながりやすい
治療です。

次に腰椎のコルセット。

腰椎のコルセットは

腰の痛みの回復及び機能改善に効果がない。

ことが確認されています。
腰椎の骨折などで腰を固定しなければいけない場合は絶対に必要ですが、
特に骨折がない場合でコルセットすると腰を支える筋力が
どんどん落ちていってしまうため逆に腰痛が長引く長引く原因になります。

当治療院の患者様には、まずはコルセットを外すところから教えています。

そして当治療院でも行っている鍼灸治療。

鍼灸治療も腰痛に効くツボなどの文献を集めたデータでは
実はあまり良い結果がありません。

臨床を中心に多くやっている鍼灸師さんなら分かると思うのですが、
腰痛の特徴は個人個人で違います。
ですので昔の文献をひもといていわゆる『腰痛に効くツボ』というところに
治療してもそもそも効かないことが多いのです。

そのデータを集めているのでこの結果は仕方ないと言えるのかもしれません。

以前私が行った調査では治療前と治療後で比較して
明らかに腰痛が変化しており、また数ヶ月後の治療効果も
継続して腰痛が改善している。
と結論付けたデータがあります。

これは、より実践的な研究として評価され、海外の東洋医学系研究誌にも
取り上げられました。PubMedでも見ることができますので、
是非、機会があれば見てください。


腰痛治療のガイドラインー手術療法ー

さて、今まで挙げてきたのは薬物療法と、手術以外の保存療法といった
身体に対して比較的侵害の少ない方法を紹介してきました。

ここからは手術療法です。

病院で最後の手段として提案される手術療法について、ご紹介します。

さて手術療法ですが、まず第一の結論として腰痛治療ガイドラインで
挙げられているものは

非特異的腰痛の病態が明らかではないため手術の結果はわからない。

というものです。

実際、多くのデータで手術療法の効果が疑問視されており、
最近では整形外科でも腰痛に対して手術を行う事は少なくなりました。

それもそうですよね。そもそも腰痛の85%が原因がはっきりしないのです。

原因がわかっていないのに手術に踏み切っても良い結果が得られるはずが
ありません。

私が大学病院に勤めていた頃はこういう患者さんが多くいました。

「手術をしたのに全く症状が変わらなかった。」

「先生に手術をしても痛みが変わらないと伝えると
『手術をしても全員がうまくいくとは限りませんから」とか、ひどい場合には
「手術はうまくいっているんだからそんな症状が出ているのは気のせいだ。
それとも私の手術に私の手術に文句をつけたいんですか?」
と言われた。という患者様がとても多くいらっしゃいました。

まぁそもそも、私のところには「手術でうまく腰痛が治った!」
と言う患者様はそもそも来ませんので、悪いデータしか集まらないということも考えられますけれどね。

さて腰痛に対するアプローチとしていろいろな方法述べてきましたが、
結局のところ自分に合った治療選択するしかない。と言うことです。

ですので腰痛に悩まれている方はまずはしっかり先生と相談したり、
一度治療を受けてみて

その場で症状が軽くなる。
その場で腰痛がすっきりなくなっている。

この状態になっていないと治療が効いたとはとても言えないでしょう。
当院でも、

その場でどんなに動いても腰痛を感じない、あるいは、2割程度までは
軽くなっている。

という状態になって、ちゃんと治療すれば腰痛は改善するということを
実感していただいています。

どんな物理療法も、我々のような鍼灸治療も、治療でちょっと
身体の状態を良いコンディションに整え、それを維持することで
根本的な改善が図れます。

治療で良くなってそしてぶり返す。
それでももともとの状態よりははるかに軽い。
また、治療をして状態をさらに改善する。

これが絶対的な治療の流れです。
もし腰痛で悩まれている方で、
同じ治療を受けているのに1ヵ月以上症状が変わらない。
ずっと同じ治療施設に通っている。

そういった方はぜひ当院の治療を体感されてみてください。
どんな腰痛の方のご相談も鍼灸院おるきでは受け付けております。

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