野球肘と鍼灸を使ったスポーツコンディショニング

こんにちは!

福岡市西区の鍼灸院おるきの小野です。

今日、MLBではエンゼルスの大谷翔平選手が手術をするという報道がありました。
トミー・ジョン手術という、野球選手が肘を怪我した時に良く行う手術で肘の靭帯を再建する手術です。

野球選手の怪我で多いのが野球肘と野球肩、股関節痛や腰痛ですが、残念ながら大谷選手もなってしまいましたね。

この野球肘という怪我はどういったものなのでしょうか?

野球肘

野球肘の概要

野球肘とは、ボールを投げすぎることによる肘の障害全般を言います。
成長期と定義付けられていますが、プロ野球選手でもなりますもんね。

繰り返しボールを投げることによって肘に負担がかかる、いわゆるオーバーユース。使いすぎ症候群というやつです。
野球肘発症後の症状は障害部位や内容によって様々です。

肘の外側で骨同士がぶつかって骨や軟骨が剥がれたり骨棘ができたり、傷んだりします。また、肘の内側では軟骨や靭帯が痛みます。

先日カブスのダルビッシュ有投手が肘を手術しましたが、彼の症状は骨棘除去ですので骨がぶつかったことでの炎症で骨格に負担がかかっていたんでしょうね。

大谷選手は靭帯の損傷なので、肘の内側に症状を抱えていたようです。

西洋医学で取られる治療は保存療法、手術療法で、損傷の程度やその後の生活によって変わってきます。
スポーツを継続する予定の方は肘周りをできるだけ健康な状態に近づけなければならないため、組織損傷がある場合にはほとんどが手術を選択するようですね。

手術療法は骨に問題がある場合には骨棘や遊離軟骨などの除去術、部分的に切れた靭帯が骨など関節組織の隙間に挟み込まれて痛む場合にはクリーニング術、今後も肘を酷使する予定で靭帯の強度をしっかりつけたい場合にはトミー・ジョン手術が選択される傾向にあります。

保存療法では大谷選手や田中将大投手が行ったPRP(Platelet Rich Plasma)療法という方法があります。
PRP療法は再生医療の一種で、自分の血液から血小板と呼ばれる組織を取り出し、再生させたい部分に注射する方法です。血小板は傷口の再生などに関わる細胞なので、切れたばかりの靭帯がくっつく可能性が高まります。

PRP療法は美容やアンチエイジングの分野にも取り入れられています。

PRP療法の他、損傷が少なければアイシングや超音波治療、電気治療などの保存療法の他、運動制限が課せられます。

東洋医学では鍼灸治療なども同じ目的で行われます。

野球肘の症状

野球肘の症状はその名の通り、投球時に肘が痛いなどです。
外側が痛いタイプ、内側が痛いタイプ、フォロースルーの時に肘の後ろが痛いタイプの3種類に別れます。

野球肘の原因

野球肘の原因は基本的にはオーバーユース。同じ動作を反復することによる使いすぎです。

ですが、同じように使っていても故障をしない人もいます。これには理由があるように思います。ここから先は実証できていないため、考察になります。

福大時代の研究から

福岡大学大学院スポーツ医学研究室で行われた実験です。筋電図で筋出力を計りながら野球部のピッチャーに投球をしてもらいました。
選手の特徴として、50球を超えたあたりから球速が上がる尻上がりタイプで、100球を超えると球速が急落する先発投手でした。

鍼治療をせずに投球した時の筋電図は、上腕二頭筋や上腕三頭筋などの腕の筋肉はしっかり出ていましたが、体幹の筋肉などの出力は上がっていませんでした。また、球速もMAXよりも10km/h遅い130km/h前半でした。
球数が50球を超えたあたりから球速が上がり、140km/h前半まで出るようになりました。しかし、その時の筋電図は上腕二頭筋や上腕三頭筋などの腕の筋肉の筋出力は当初の3分の1程度、ほとんど筋力を使っていないことがわかりました。

これは表面筋電図での実験だったためインナーマッスルの動きはわかりませんが、大きい力を出すはずのアウターマッスルは調子の良い投球時にはほとんど使われていなかったということがわかりました。

さらに、100球を超えると球速が落ち始め、上腕二頭筋や上腕三頭筋の筋出力が再び上がってきました。

次に鍼治療を行ってから投球をしてもらうと、今度は最初からほぼMAXのスピードで投球ができて、しかも120球を超えても球速はほとんど落ちませんでした。また、上腕の筋電図もほとんど出ず、しっかりと体幹を使って投球ができているということがわかりました。

これは仮説ですが、尻上がりタイプの投手や途中から球速が落ちるタイプの投手では腕に余計な筋電図が入っている状態になっています。

つまり、関節には余計な筋収縮のせいで負担がかかりますし、身体全体の力ではなく腕の力を多く使って投げている状態=手投げの状態になっています。

大谷投手もダルビッシュ有投手も田中投手も初回に悪くてもなんとか試合を作ってしまうという修正力を高く評価されていますが、初回に悪い状態が多いということは腕に余計な筋電図が入ってしまっているケースが考えられます。

メジャーのボールは滑りやすいと聞くので、腕に余計力が入るから怪我の原因になるのでしょうね。

力が入った状態で投球動作を行うと、伸張性収縮という関節に一番大きな負荷がかかった状態での投球になります。そのため、関節へのダメージが大きく故障につながるのではないかと考察できます。

ちなみに、手術をすると筋肉を切ってしまうので組織が硬くなります。組織そのものをほぐすことに加えて、運動時の筋収縮が正常に起きる状態に持っていく必要があります。

また、怪我の再発防止には脱力できた状態で投球ができるように投球動作を作り直す必要があるでしょう。

今回ご紹介した実験では、円皮鍼をポチっと刺しただけで筋電図に変化が出ていたので、それだけでも充分だと思うんですけどね(^^)使いやすいのでオススメですよ(^^)

円皮鍼はオリンピック前に羽生結弦選手が使っていて話題になったアレです(^^)

円皮鍼

調べたらいっぱいでてきます(^^)


まとめ

大谷選手の肘の故障を受けて、今回は野球肘について記事にしてみました。

故障してしまったものは仕方がないので、今回の怪我はしっかり治して二度と故障しない身体を作り上げていただきたいと思います。

スポーツに怪我や故障はつきものです。ですが、故障をしないためにはスポーツコンディショニングをしっかり行っておかなければいけません。

小野はめんどくさがり屋のためアスレティックトレーナーは取っていませんが、スポーツ医学を専修して修士号を取り、有名トレーナーと一緒にコンディショニングに携わった程度にはスポーツ選手のコンディショニングに詳しいです(^^)

福岡でアスリートのケア、スポーツコンディショニングが出来る鍼灸師をお探しの方はご相談くださいね(^^)

ついでに海外トレーナーさんに講習会した時の写真載せときます(^^)


筆者情報
小野修司
鍼灸師・スポーツ健康科学修士

鍼灸師の免許取得後、技術と知識の研鑽のために福岡大学大学院に入学。
スポーツ医学を学びながら関節運動の研究を行い修士号を取得。
大学院に通いながら地域の病院やアスリートのケアを行い臨床経験を積んだ。
福岡大学病院東洋医学診療部に鍼灸師として初めて入職を果たし外来診療も担当。
その後、培った技術を大学病院以外でも活かすため福岡市西区今宿に鍼灸院おるきを開院。
1年後、福岡市中央区唐人町に鍼灸院おるき唐人町治療院を開院。
現在に至る。

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